人と多く接する仕事だからこそ

医療現場は大きく変わり、患者はお医者様に診ていただくという感覚より、お客様扱いされることを望む人が増えたと言われている。価値観も多様化しており、今までにないような難しい対応を迫られることが増加しているのが現状だ。看護師も人間であることから、時として怒りの感情を抱いてしまうこともある。その点で役立つのが、アンガーマネジメントだ。
アンガーマネジメントとは人が抱える怒りや悲しみ、劣等感などのマイナス感情を整理して理解し、客観的にとらえることで適切にコントロールする手法を指す。アンガーマネジメントは看護師のように人と接する仕事だけでなく、緊張や忍耐が必要な感情労働の現場で広く取り入れられている。
アンガーマネジメントでまず知っておきたいのが、怒りの感情は人間の表現の一つであり、自分を守るための防衛反応ということだ。つまり、人間である以上怒りの感情をなくすことは不可能なため、コントロールするしかないことになる。怒りをコントロールするのに役立つのが、時間だ。怒りの感情に表れるアドレナリンは6秒かけて体内を回るため、それ以上の時間が経過すれば怒りを表に出すことを抑えられる。
また、怒りを抱きやすい状況や傾向を調査して、自分の怒りを点数化して客観視することで、怒りを抱きやすい状況を回避できるだろう。そして、自分や患者に理想の姿を追い求め過ぎないようにしたり、諦めの気持ちを持ったりすることも怒りのコントロールに役立つはずだ。